本当の幸福とは何か考えてみた④（完結）

前回のブログからの続きです⇒

③“自分が幸せにしたい人達”と共有する

以下は私が制作した『幸福ピラミッド』です。私の精神科医の友人から教えてもらいました。

簡単にまとめますね。

私達が感じる広義の幸福感は３種類あります。セロトニン、オキシトシン、ドーパミン、それぞれの脳内物質が引き起こす幸福感の種類は図の通りです。

『セロトニン的幸福』『オキシトシン的幸福』は穏やかで持続的な幸福です。一方、『ドーパミン的幸福』は目標を達成した瞬間のみに分泌されます。なので、狭義の意味ではこれは幸福ではなく『快感』です。全ての依存症患も、このドーパミンの分泌異常が原因と言われています。

参考：https://kentei.healthcare/column/2208/

しかし、現代人はこの『ドーパミン的幸福』を『幸福』だと勘違いしていることで、常に『不足』を感じている。それが、うつ病などの精神疾患を引き起こすことが多々あるとのことです。

お金や成功は、人生の大きなスパイスになってくれるものです。私は全く否定していません。ですが、健康的に目指す必要があると思います。そのためには、このピラミッドの底辺部分の『持続的幸福感』をないがしろにはできません。例えるなら、飛行機で空の旅を楽しもうとしているのに（お金や成功への挑戦）、下に自分をいつでも着陸できる空港がなかったら（持続的幸福感）、心穏やかに楽しむこともできませんよね。

この『持続的幸福感』の部分を完成させるのが、図にもあるように、この２番目の階層の『つながり・愛』です。この階層は、自己肯定感の『仕上げ』に深く関わってくる部分だと個人的に思っています。ニトログリセリンが爆薬にもなるし心臓発作の薬にもなるように、私自身も『つながり・愛』との化学反応によって、自己肯定感が良薬にも爆薬にも変化する経験を何回もしてきたからです。

では、自分を良薬に変化させるつながりとは何か。それは、『自分が幸せにしたいと思える人達』と幸せを共有すること、だと思っています。『この人に自分の寂しさを紛らわせてもらおう』とか『この人に嫌われないように無理してでも〇〇をやってあげよう』のような『依存のつながり』ではなくてです。

依存関係になると、段々「自分はこんなに尽くしているのに」や「もっと寂しさを埋めて欲しい」などの不満や怒り、恐れといった感情が湧いてくるのが世の常です。

ここで気をつけないといけないのは、人間の脳は『主語を認識できない』という事実。脳は主語を理解できないので、いくらこの感情が相手に対してであっても、それを判別できず、自分自身に対して感じている、と誤理解してしまう特徴を持っています。ちょっと怖いですよね。

参考：https://diamond.jp/articles/-/295347

つまり、相手に対してこれらの感情を抱えれば抱えるほど、潜在意識で『自分は不満や怒り、恐れに値する人間なんだ』と認識してしまうことになる。なので幸福感も自己肯定感もすり減っていく。科学的にも、依存関係というのは自分にとって毒薬だと言えると思います。

だからこそ、「何も見返りはいらない、幸せにしてあげたい」と思える人達をどれだけ周りに持つか、が良薬になると思います。そう思うことは、自分に対して「何も見返りはいらない、幸せにしてあげたい」と思っているのと同じだからです。それは、まるで自分自身が無性の愛を注ぐ母の存在となり、自分を慈しむ行為だと言えるでしょう。私達が自分について悩み、時に厳しくしてしまうのは、まさに母親が自分達に向けていた愛と同じではないでしょうか？

確かに、人間関係は複雑なものです。綺麗ごとで割り切れないかもしれません。ですが、私達は明日突如死ぬかもしれません。だからこそ一層、後悔なく、笑顔で自分軸で生きていきたい。そのためには、自己肯定感をすり減らす人間関係を勇気を持って断つことは、避けられないと思います。

自分軸の人生は、時に勇気が試されます。だからこそ失敗もあるので、ひるむ時は多々あります。ですが、失敗のない人生が１番の失敗ではないでしょうか。

私はあと一歩で死んでいた、と言える事故に２回逢ってきました。事故で感覚が麻痺した左ひざの一部に触れる度に、「明日死ぬかもしれないから自分軸で生きよう」と奮い立たされています。

幸福の形は60億人いれば60億通りあります。失敗を「学び」と変換できる前向きな姿勢を持ち、『いま、ここ』にある可能性に目を向けて挑戦し続け、その背中を押してくれる人達に囲まれながら、「勇気を持って、自分の人生をやりきった」と笑顔でこの世を去ること。これが私にとっての『最幸』の人生です。今回は長いエッセイになりましたが、皆さんが自分の幸福をもう一度振り返り、何かを再発見するきっかけになったとしたら、この上ない喜びです。ご精読いただき、ありがとうございました！！

（完）