常識のズレは言葉のズレより難しい ~その2~

 そして、清算を待っている間、あることが頭を過ぎり、はっとさせられました。

身近な人ほど信用しているので、「自分の考えをわかってくれるだろう」という期待値の高さが発生する。そしてその期待を裏切られると、裏切られた悲しみから怒りに変わるように思う。

一方、テレビの中の芸能人、政治家はどうだろうか。自分は彼らのとんちんかんな発言に対し、「はぁ?なんじゃそりゃ」と一過性で思うが、その次には「夕飯作るの面倒くさいなぁ~1世紀遅く生まれてたらロボットが夕飯作ってくれてたのかなぁ~」等々思考がもろ変わっていることが多い。

なぜなら、彼らは私にとっては超赤の他人、「彼らならこう言ってくれるだろう、こう行動してくれるだろう」等の期待値なんて皆無だからだ。

パブロと彼ら、果たして違いがあるのだろうか?いや、ない。双方、超赤の他人なのである。

双方、私とは親も違う、育った環境も違う、付き合ってきた友達も違う、学校も違う、キャリアの種類も違う、食生活も違う、しまいには話す言語も違ったりする。

たまたま、パブロは物理的に私の傍にいるだけで、彼らと全く一緒なのだ。

あ、彼らと全く一緒と今言ったが、言った傍から一つ訂正しないといけないことがある。私の永遠のアイドル真田広之さまとパブロは全く別次元の生き物である。パブロの顔が1ミリでも真田広之の面影があったなら、こんな長々しく常識についてうんうん唸らずにすんだ。いい迷惑である。

そして後日、幸か不幸か、テレビ作戦を実行に移す機会を得た。パブロが「ちょっと試してみたいことがあるんだよね~」といきなり炊き立ての白米に牛乳を目の前で入れたのである。

その瞬間目の前がスローモーションになり、瀬戸内海で遠い昔に海賊をしていた私の先祖(金持ちの叔父が暇つぶしに大金をかけ先祖を調べつくした)のDNAが覚醒するのを肌で感じた。

ご先祖様は「炊き立ての白米を侮辱する者市中引き回しにするべし」と私に助言をしてくれたのだが、私は「ご先祖様、激しく同意です。ですが、ちょっとその前にあることを試させてください」とお願いし、このテレビ作戦を実行した。

するとどうだろう、なんか変なスペイン人レポーターが送る、仰天食レポ番組に見えて楽しくなってきたではないか。

一気に余裕が出てきた私は、彼の行動に注目するのではなく、彼の行動の背景が気になったので、聞いてみた。どうもオートミールに牛乳を混ぜるのが当たり前だから、同じ穀物で試してみたかったらしい。あぁ、確かに、最近ごはんをオートミールで代替するダイエット食が流行っているから、正直大差ないのかもしれない。

更に気になってググってみたら、鳥取県琴浦町というところで、この牛乳ぶっかけご飯は名物らしい。へぇ。あとミルクリゾットのレシピ集なども出てきた。常識外れと自分でくくってしまっていた彼の行動は、逆に私に学びをくれたのである。

人間、全てのものは受け入れるのは不可能である。しかし、本当に全てのものを受け入れられないのか、自分の常識を疑い、1回クッションを置く努力を頑張ってしようと今回思わされた。

今後も、TBS「情熱大陸:変なスペイン人特集」を鑑賞するような気持ちで、一歩引いたところから彼の生き方を眺めていこうと思う。そのテレビの前のちゃぶ台をひっくり返すことも多々あるだろう。しかし、人生の醍醐味、というのは不可能だと思っていたもの、理解不能だと思っていたもの、の中から理解できるものが生まれた時に輝くように思う。ひっくり返しながらも、その気持ちを忘れなければ、うまく歩んでいけると信じている。

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